トップページ取組み・活動THE DRUGSTORE STORY 「ドラッグストアで生まれた幸せの物語」#07

#07:ありがとうの活力

 2011年3月11日、福島県南相馬市にある店舗で私は店長として働いていました。
大震災当日は会議のため、福島県郡山市にいました。
すぐに店舗へと戻りましたが、道路はぐちゃぐちゃ、停電、渋滞で、いつもであれば2時間で戻れる道のりが、店舗に着いたのは22時。六時間かかって店へと戻りました。

 店に着いて驚きました。
商品はすべて棚から落ちてビン類は割れ、洗剤は散らかり、天井の壁がはがれていました。
幸いにも店舗の電気は回復しており、従業員が黙々と復旧作業をしていました。
店舗にいた従業員に聞いた話では、震災前日の店内会議時に地震の際の避難誘導のロールプレイを実施していたため、店内にいた全てのお客様と従業員に怪我はなかったそうです。

 すぐに店を閉めようとしましたが、ぐちゃぐちゃの店内でも多くのお客様が来店し、買い物をしてくださったそうです。
店に着いて休むヒマもなく、翌日の開店に向けて復旧作業をしました。
黙々と作業しました。
寝ずに作業しました。
なぜそこまで寝ずに作業することができたのか、自分自身わかりません。
でも、夢中でした。気づくと朝になっていました。

 朝の7時、このまま店を開けることにしました。そして間もなく、
「もう開いてるのか?」
と男性のお客様が来店しました。
「はい、どうぞ。いらっしゃいませ。おはようございます」
いつものように挨拶をすると、
「良かった。助かった」
と言って食料を買っていきました。
その後も続々とお客様が来店してくださいました。
気づくとレジ待ちの列が店内の端から端まで続いていました。
不思議とお客様は誰も苦情を言うわけでもなく、秩序を守りレジに並び、従業員の私たちにかけてくれる言葉は全て、
「良かった。ツルハさんが開いていて」
「ツルハさんが開いてるって聞いたから来てみたら、ほんとに開いてた。良かった」
「助かった。ツルハさんが営業してくれて」
「ありがとう。頑張って!」
といったものばかり。たくさんの感謝の言葉を頂きました。
ふと気づくとレジをしながら涙が出ていました。

 これほどまでに多くのお客様からありがとうと言ってもらえたこと、そして私の店を必要としてくれたこと、一緒になって寝ずに復旧作業をしてくれた従業員への感謝の気持ちなど多くのことが重なって出た涙でした。
人生で初めてでした。ありがとうの言葉で涙を流したのは。
ありがとうは魔法の言葉です。ありがとうは人を元気にします。ありがとうは相手を思う気持ちから出る言葉です。ありがとうは人と人をつなげます。
そして私にとって、ありがとうは何より笑顔を与えてくれ、仕事へのやりがい、お客様とのつながりを与えてくれる一番の活力だと知ることができました。

 寝ずに復旧作業を行うことができたのは、いつも来店してくれるお客様へのありがとうの気持ちが活力になったのかもしれません。
今後もありがとうを伝えられる、そして、ありがとうと言ってもらえる従業員であり続けたいです。

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